二十世纪中国文学

Èrshí shìjì Zhōngguó Wénxué
二十世纪中国文学
二十世紀中国文学(にじゅっせいき・ちゅうごくぶんがく)

 近年中国の文学研究者が提起した文学史の概念。十九世紀末から二十世紀初頭に始まり、現在に至るまで続いている文学過程全体を指す。

 中国の文学界は近代、現代、当代文学の歴史的区分において、意見は一致していないが、一般的には、十九世紀後期から“五四”までを中国近代文学期、“五四”から中国解放前夜までを中国現代文学期、解放後から新時期までを中国当代文学期としている。

 近年、少なからぬ文学研究者が相継いでこの区分、とりわけ現代、当代文学の区分に異議を唱え、この政治革命史に当てはめた区分方法は文学の発展の実情に合わないと指摘した。彼らは、1949年前後の二つの時期の文学は、時代と文化精神、作品の内容と形式等において、切り離せない内在関係があり、それらを一つのまとまりと見なして光を当ててはじめて、数々の文学現象に対し、客観的かつ深い認識と分析ができ、それによって文学の発展及び運動の法則性を総括することが可能になると考えた。このような基礎の下、1985年、数名の文学研究者が“二十世紀中国文学”の概念をさらに踏み込んで提起し、比較的着実で清新な一連の論述により、この概念をますます注目されるものとした。

 この概念の最初の提唱者たちは、一つのまとまった文学の過程として“二十世紀中国文学”とは“古代中国文学から現代中国文学への転換、過渡が最終的に完成する過程であり、中国文学が‘世界文学’という全体の枠組みに向かって進み、かつ組み込まれる過程であり、東西文化の大きな衝突や交流の中で、文学という方向(政治や道徳など)から現代民族意識(審美意識を含む)を形成する過程であり、言語の芸術を通して屈折し、古い中華民族やその精神を表現し、新旧が移り変わる大きな時代の中で新たに生まれ、盛んになっていく過程である”と考えた。二十世紀中国文学の基本的な特徴は以下のように概括される。1.“世界文学”に向かうことを全体的な傾向としている。2.“民族の精神を改造する”ことを全体のテーマにしている。3.“物悲しさ”を核心とした現代美感の特徴を持っている。4.斬新な芸術形式の探索に現れる芸術的発想の現代化の過程である。5.“全体的な意識”を特徴とする文学史の方法論である。

 “二十世紀中国文学”という概念の出現は、古くからある文学研究の枠組みに対する幅広い開拓であるばかりか、明らかに文学形態の有機的な総体に対するマクロ的把握及び共時的構造を重んじることによって、一種の文史と文論を融合させた、さらに研究者の主体的な意識を持った新しい文学史観を表現した。

(『文芸学新概念辞典』文化芸術出版社 1990)

作成:田中洋子

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