哲理小说

Zhélǐ Xiǎoshuō
哲理小说
哲理小説(てつり・しょうせつ)

 小説の一種。現実生活の具体的描写に力を入れたり、人物の性格の細かな描写を重視したりせず、具体的なイメージの助けを借りて人生の哲理を表現するのが特徴である。哲理性は芸術性と統一されて、あたかも寓話のようである。しかしその哲理性は寓話よりも深く、ストーリーのリアルさと感化力は、多く寓話には及ばない。哲理小説は「なんといっても思想性のある作品であり、読者のああいった新しい思想を豊かにすることに主な価値がある」(ルナチャルスキー[盧那察尓斯基、Anatolii Vasil’evich Lunacharskii]の語)。哲理小説とは、往々にして社会の大きな変革における哲学思想領域での反響であり、新しい思想が伝統的観念を突き破るときの闘争の叫びである。18世紀のフランスの啓蒙文学ではこのスタイルがよく用いられた。中国の「五四」以後の冰心や新時期の作家たちは皆この類の小説を書いた。柯雲路、雪珂の『歴史将証明』、諶容の『楊月月与薩特之研究』などが新時期の新哲理小説である。
 
(『中国小説辞典』北京出版社 1990)
作成:河本美紀

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