政治小说

Zhèngzhì Xiǎoshuō
政治小说
政治小説(せいじ・しょうせつ)

 政治小説は、小説のジャンルを表す専門用語である。政治と言う言葉に含まれる意味は大変広く、東洋と西洋の政治に対する理解は完全には一致しないため、政治小説という概念に対する解釈は様々である。この種の小説は、ここ十年来、ソビエトにおいて比較的大きな進展が見られた。ソビエトの一部の評論家たちは、政治問題を扱っている小説はすべて政治小説と呼べる、としているが、多くは、このような解釈はあまりにも広すぎて、それをその他のテーマである小説と区別しにくいことから、様々な条件を提示し制限を加えた。一般的には、政治小説の内容の中心は、直接重大な社会政治事件を描写しているものであるべきで、作者の思想や観点は、小説の中で、隠さずすべてを表現するべきだとしている。このほかに一部の人は、さらにその他の様々な条件を提示している。例えば、現実の政治人物を描くことを中心とすることを要求する、二つの社会制度思想の衝突と対抗を表現すべきであるとする、その政論性を強調し、明確な政治目的があり、宣伝し扇動する役割を果たすことを要求する、文献性を強調し、事実を用いて語ることを要求する、などである。しかし、いかに総体的に「政治小説」という概念を解釈するのかは、いまだに適切な定義というものはない。一番最初にソビエトでこの専門用語を使った作家コンスタンチン・フェージンは、彼の「長編小説<エウロペの略奪>の創作について」の文中で、政治小説とは、人物像を通して、我々が政論という形式で表現するのに慣れているものを反映するものである、としている。この解釈は不完全ではあるが、要点を捕らえわかりやすい。ソビエトの作家チャコフスキー自身が政治小説と評している「勝利」という本も、文学界からは最も典型的な政治小説と公認されている。(王中棋)
 
(『文芸学新概念辞典』文化芸術出版社 1990)
作成:田中洋子

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