「演」とは、即ち演繹の演であり、推し広げる、発揮するという意味を含んでいる。｢義」とは、即ち意義の義であり、思想的な内容に用いる。演義とは作者が真実の歴史を基礎とし想像やフィクションを加え、芸術的な加工を施し、章回体（全作品を回に分け、各回に内容の概略を述べた短い標題がついている文体）を用いて書き上げた小説である。この方式は、中国の古代長編小説の一種であり、講史話本からしだいに発展し変化してきたもので、『三国演義』などがこれにあたる。

 

(『中国小説辞典』北京出版社１９９０年４月）

作成:水野仁徳