烘托

Hōngtuō
烘托
輪郭化(りんかくか)、くまどり

 もともとは、中国画で水墨や薄い色を使い、描くものの輪郭を潤色することを指す。描こうとする主体景物を外側から際立たせ、浮き立たせる技法。後に文芸創作について用いられると、よく使われる芸術方法となった。世界中の物事は、みなお互いにつながりがあるものであり、文章を書くときには、ある一つの客観的な物事を孤立させて描くことはできない。物事と物事の間の客観的な関係を用いて、描こうとする物事のそれぞれの側面に意識的に描写に彩りを添えることによって、表現したい物事を鮮やかに浮き立たせることが「烘托」あるいは「烘雲托月」と呼ばれるものである。例えば、魯迅が『薬』の最後で、烏を用いて、墓地の陰気で悲しげな環境の雰囲気を際立たせているのがその一例である。「烘托」は描写対象の特徴を浮き立たせ、読者の想像力を広げ、豊かにさせることができる。

(『中国小説辞典』北京出版社 1990)

⇒ 渲染
作成:河本美紀

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