现实主义

Xiànshí Zhǔyì
现实主义
リアリズム

 このタームは流派、創作方法、精神の3つの意味で使われる。

 文学流派としてのリアリズムは、特に1830年代の西ヨーロッパに現れ発展した一種の文芸思潮とその運動を指し、ヨーロッパの19世紀文学では主要な位置を占め、ゴーリキー(高尔基、Maksim Gorkii)はこれを批判的リアリズムと称した。

 文学の創作方法としてのリアリズムは、作家が生活を認識し、生活を反映するのが基本原則であり、作家に真実の細かな描写を通して、具体的で感じることのできる生活場面を表現し、更に進んで典型的な環境における典型的な人物を作り出し、それによって社会生活におけるある種の本質を提示することを要求する。チェーホフ(契诃夫、Anton P. Chekhov)は、「文学が芸術と呼ばれるのは、それが生活の本来の姿をなぞって、生活を描写するからである。その目的は無条件の、率直な真実である」と述べている。リアリズムの創作方法を用いて書かれた作品は、批判的リアリズムでも社会主義リアリズムでも、この基本的特徴を備えている。ある意味で、リアリズムの創作方法が基本的に要求しているのは真実、つまり細部の真実と典型的真実を描くということである。

 文学精神としてのリアリズムは、各種文学流派や創作方法がまったく違うものを備えている。あらゆる文学作品は異なる程度に備えており、異なる形式で一定の現実を反映していることにより、多かれ少なかれリアリズム精神を備えている。文学史上では例えば長期的にリアリズム文学と共存していたロマン主義文学と共存しているように、作者の強い個人感情を発することに重きを置いており、可能性のある、理想的な生活を表現するのに重点を置く。創作方法の面から見れば、リアリズムとは異なっているが、生活を反映する広さや深さから見ればリアリズムと同じである。ゆえにロマン主義文学は疑いも無くリアリズムの精神を持っている。今世紀(注:20世紀)から、ラテンアメリカでは異なる風格や特徴の文学流派が興った。たとえば、「恐怖リアリズム」、「映画リアリズム」、「心理リアリズム」、「ニューリアリズム」、「動物心理リアリズム」、「神秘的リアリズム」などがあり、最も代表的なのは「構造主義的リアリズム」と「魔術的リアリズム」である。ストラクチュラルリアリズムの特徴は真に迫った現実の書き写しではなく、現実を解体したり、適当に組み合わせや誇張を行うことである。人物の典型を創り出すのではなく、社会や集団の典型を描き出す、ゆえに、採ってきた部品は社会と集団の側面である。これらの部品を組み合わせることで、常軌を逸脱し、リアリズムの普通の表現方法を越えたものとなっている。「魔術的リアリズム」は「現実を幻想に変えるにも関わらずその真実性を失わない」という創作方法であり、その現実のストーリー展開は更に全く幻想や虚構から出た場面と一つに織り合わせ、本当か嘘か分からないという感覚を人々に与える。これら数々の、頭に様々な形容詞を持つ「リアリズム」は、全て伝統的なリアリズムの創作方法を用いて書かれたものではないが、リアリズムの範疇には属しており、強烈なリアリズム精神を備えている。たとえ非リアリズムの西洋モダニズム派文学が、「自我」を創作の中心に据えて人間の直感、幻覚、情感、潜在意識などを書き「心理の真実」「情感の真実」を表現し、文学が社会を源とすることさえ完全に否定しているとしても、実際には、それらの色とりどりの奇妙なイメージや連想はわけもなく発生したのではなく、正確に或いは歪曲に、直接的に或いは婉曲に、浅はかに或いは深く真剣に一定の社会現象を反映したからなのである。つまり、それらはやはり資本主義という現実の産物であることに変わりはないし、現実生活のある側面を表現しているのである。

(『文芸学新概念辞典』呂智敏主編 文化芸術出版社 1990)
作成:河本美紀

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