知青小说

Zhīqīng Xiǎoshuō
知青小说
知識青年小説(ちしきせいねん・しょうせつ)

 下放知識青年出身の作者が創作した、知識青年の生活を題材とした小説。中国で60年代後期に起こった知識青年の下放運動は、中国の多くの都市や農村に波及し、また多くの政治的な社会事件につながった。このような背景や運動の中の個人の運命を描写の対象とした小説は、ほぼ新時期文学が始まると同時に現れた。例えば盧新華が1978年に発表した『傷痕』、孔捷生が1979年に発表した『在小河那辺』などである。テーマの発展や変化という角度から見ると、知識青年小説は“時代の告発”から“運命の描写”へ、“個人の境遇”から“歴史の再認識”までの過程を経験した。しかし人物像と生活シーンの描写も下放知識青年や人民公社の生産隊の生活から知識青年の都市回帰へと、現実を改革することにまで拡大した。このような発展と変化の過程を反映した代表的な作品に叶辛の『蹉>足它<歳月』、梁暁声の『今夜有暴風雪』、『雪城』、張承志の『金牧場』などがある。
 知識青年小説の著しい発展に伴い、文学の新人らが頭角を現し、それぞれ特徴のある創作の成果により、当代の著名な小説家の仲間入りをした。例えば、孔捷生、梁暁声、張承志、王安憶、鉄凝、張抗抗、柯雲路、李鋭、阿城、史鉄生、朱暁平、肖復興らである。
 個人の運命という真に迫った体験と人生の意義や人生の道のりに対する執拗な思索や探求を結び付けていること、生活の中から生まれた主観的な衝動に忠実であること、自分が見たものを通して自分の気持ちや考えをストレートに述べていること、一つにこだわらずいろいろなものを引き継ぎ、真似をする中で、自分の芸術表現の手法を探求すること、作品の思想や感情が誠実であること、生活の息吹が濃厚であること、人物像が真に迫っていること、強烈な真実味と、感染力を備えていること、これが知識青年小説の普遍的な特色である。
 文学評論界では知識青年の生活は一種の運動としてはすでに歴史になったものだが、社会生活における影響は継続していくであろうと見ている。社会生活の一面として、社会の現実の中の一つの問題として、知識青年が題材である小説の現在の成果は、頂点にはまだ程遠く、社会全体の生活や芸術が発展し深化するにつれて、新時期文学の中の著しい異彩を放つ一章となるであろう。
 
(白燁『文芸学新概念辞典』文化芸術出版社 1990)
作成:田中洋子

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