虚实

Xūshí
虚实
虚と実(きょ・と・じつ)

 芸術処理の弁証法の一つ。直接的に対象を描き、正面から人物の姿かたち、行動、心理活動を描き、はっきりと描けば、一目瞭然なので、これを実写という。虚写はおおよそ二つの形式に分けられる。一つは、相手や第三者の評価、感情、反応を用いて、描写対象を間接的に反映する。もう一つは、暗示や正反対のものを持ってきて引き立たせるなどの方法を用いて、描写対象を隠しながら表現する。そして、人物の隠れた部分を、読者が自分の生活経験を十分に利用し、想像することで、描写対象を補足し豊かにさせる。例えば『三国演義』の第五回で、関羽が酒を温めて華雄を斬るという部分は虚実兼用をもちいた描き方である。
 
(『中国小説辞典』北京出版社 1990)
作成:河本美紀

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