通俗文学

Tōngsú Wénxué
通俗文学
通俗文学(つうぞくぶんがく)

 民間文学と純文学の間に位置する一種の文学様式。

 通俗文学とは体裁上は物語、伝奇、章回演義、推理、探偵、恋愛、内情小説などを主としている。この文学様式の基本的な特徴はその娯楽性にある。作品のプロットの構成、物語の編成、シーンの調整など、わかりやすさを強調するという核心をめぐって考慮を加え、物語の筋が明白で、プロットが完全で一貫性を持ったものにし、緊迫し、変化に富み、情理にかなったものになるように努めている。人物の性格は鮮明で、言語もはっきりして流暢である。作品は通常、深い人生の思考や細かい心理描写に寓意をこめない。

 優れた通俗文学作品は見た目よりも奥が深く、簡明でわかりやすい物語の中に深い意味が込められている。普通の通俗文学作品は大衆の鑑賞習慣にのっとり、寓意は簡単明瞭で、内容も悪を懲らしめ善を讃え、正義を広めるものなどに限られる。通俗文学の流行は二つの基本的な方面によるもので、一つは、それが社会の文化レベルが比較的低い読者の好みに合ったこと、もう一つは、純文学を読むのに適当ではない時間と空間の中で、通俗文学は人々の審美の要求を満足させることができたことである。よって通俗文学は西洋では“車站文学(駅文学)”、“候机室文学(待合室文学)”などとも言われている。

(『文芸学新概念辞典』文化芸術出版社 1990)
作成:田中洋子

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