鸳鸯蝴蝶派小说

Yuānyānghúdiépài Xiǎoshuō
鸳鸯蝴蝶派小说
鴛鴦蝴蝶派小説(えんおうこちょうは・しょうせつ)

 中国近代史上延々と続く文学流派。清朝末期に始まった。多くの作品と内容が、ともすれば「一双蝴蝶、卅六鴛鴦」と、作中の才子佳人をなぞらえたことから、鴛鴦蝴蝶派と称された。1914年に、鴛鴦蝴蝶派初期にもっとも影響のあった雑誌『礼拝六』が出版されると、「礼拝六派」とも称された。茅盾は、鴛鴦蝴蝶派小説の作者に対して「思想上の最大の間違いは、娯楽的・消費的金銭主義の文学概念にある」と指摘した。鴛鴦蝴蝶派文学の形成には深刻な社会政治の背景がある。それは「十里洋場」の上海を始まりとし、辛亥革命後の数年に盛んになった。清末以来、半封建半植民地の大都市のいびつな発展は、必然的に、この類の病的社会を反映した病的文学を生み出した。有名な作家や代表的な作品には、徐枕亜の『玉梨魂』、李涵秋の『広陵潮』、周痩鵑の『此恨綿綿無絶期』などがある。「五四」運動後、新文学作家の批判を経て鴛鴦蝴蝶派作家の分化が始まり、何人かの作家は、抗日時期に進歩的傾向を備えた作品を書いた。
 
(『中国小説辞典』北京出版社 1990)
作成:河本美紀

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