反科幻小说

Fǎn Kēhuàn Xiǎoshuō
反科幻小说
アンチSF小説

 アンチSF小説は“SF批判小説”とも呼ばれ、小説の形式を用いて、西洋の“反科学的悲観主義”思潮を述べる文学様式である。これは西ドイツで起こり、後に西洋全体に広がった。

 “反科学的悲観主義”思潮とは、西洋の高度に発展した科学技術や現代化した工業が、人類に対して様々な脅威を創り出した背景の下、生まれたものである。“反科学的悲観主義”は、科学は人類に対し、文明の進歩を推進する一方、深刻な災難ももたらしたという二面性を有すると考えた。この災難とは主に、科学が人類の生存環境を破壊し、人類が代々身を寄せていた地球が今まさに、科学の大実験工場に変わりつつあること、高度な科学技術に基づいて造られた現代の戦争の手段が冷酷に人類の生存を脅かしていること、科学が、国家装置の人間に対する抑圧を日増しに厳しくし、個人の労働がもたらす楽しみを日毎に失わせ、それによって人間の自由な天性を剥奪し、人に、非人間的に疎外されてしまうという危険に直面させること、などに現れている。これらも全てアンチSF小説の基本テーマを構成している。

 アンチSF小説は手法の上で、伝統的なSF小説と同じく幻想的で超現実的な特徴はあるが、本質的には伝統的なSF小説が表現した科学に対する盲信や、自然の神秘を尋ねることに対する憧れの気持ちとは根本的に逆である。人と世界は科学の統治の下、まさに抑えられない衰退へと向かっている、これがアンチSF小説が我々に示した主要な構図である。

 西ドイツでは、アンチSF小説は退屈しのぎの文学に属するが、読者に大変好まれ、その代表的な作家にはハーバート・フランク、ハンス‐ユルゲン・シュテンドルフ、イルマ・ハーセンベルグなどがいる。

(『文芸学新概念辞典』文化芸術出版社 1990)

作成:田中洋子

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