柯雲路

Kē Yúnlù
柯雲路
か・うんろ

(1946- )

柯雲路自伝:

私の本名は、鮑国路、漢族、1946年11月13日上海に生まれる。北京市101中学66期高級中学卒業生である。1968年山西省の農村に挿隊、1972年山西省楡次市のナイロン工場で労働者となる。学生時代から哲学、歴史学、経済学、心理学、美学など社会科学及び文学藝術に幅広い興味を持っていた。
1980年文学の創作を開始。数年来、次々に長篇、中篇、短篇小説を多数発表してきた。1981年に作家協会山西分会に、1982年に中国作家協会に加入した。1985年から省の作家協会専業創作を開始。現在、作家協会創研室副主任である。今でも住所は山西省楡次市のナイロン工場である。

私の芸術的追求――モダンリアリズム


 私の芸術的追求は8文字で概括できる。つまり「モダンリアリズム」である。
モダンリアリズムはリアリズム大作家の全創作思想と表現手法を努力して継承し盛り上げようとする。その意味でモダンリアリズムは伝統的リアリズムの深化である。しかしそれは出来上がったら二度と変らない、硬直化した、モデルの固定化したリアリズムではない。モダンリアリズムは、観念上、文学藝術思想上、表現手法上のいずれにおいても、現代の哲学、社会科学、美学など一切の領域の新しい要素を溶かして吸収しようとするし、伝統的リアリズムのあまたのモデル、公式、理論、経験にたいして突破と超越を準備している。
1.観念上の現代化。社会、政治哲学から人生哲学、歴史哲学、倫理学、美学に至るまで、最も新しい現代意識、現代観念を追求する。保守的で遅れた惰性的な伝統的習慣や勢力、観念に対しては無情な批判精神を持ちつづける。リアリズムの批判精神は、現代においては摩滅させてはならないだけでなく、大いに発展させなければならない、と考える。モダンリアリズムは厳粛なものである。総体的品格について言うのだが。
2.モダンリアリズムは特に現代の生活に関心を寄せる。モダンリアリズムは各々の民族も含めて人類全体の歴史における文明の進歩に巨大な熱意を示す。冷ややかではないのだ。まさにこのような巨大な熱意によって、歴史の進歩自体を批判しようとする旧伝統勢力に対して、鋭く情け容赦ない批判精神を持つことができるのである。この点から言えば、モダンリアリズムは冷ややかでなく、熱情をもっているのである。
3.モダンリアリズムは、現実とリアリティの深い掘り下げのなかで、歴史の豊かな堆積を掘り起こし、リアリティと歴史的リアリティを統一しようとする。現実の社会のなかに、現実の人情風俗のなかに歴史が凝結していると考えるのだ。現実を回避すること、それをモダンリアリズムは軽蔑する。
4.広い社会生活を描くなかで、人間性を描き出し、解剖分析する。
5.社会生活の描写において、一切の領域を回避しない。政治領域を回避しないことも含めて。
6.切近感と超脱感の統一を追求する。 所謂切近感とは、文明の進歩に対する巨大な熱意及び旧伝統勢力に対する容赦ない批判をさす。超脱感とは、人生及び歴史の達観、哲学上の達観を示す。巨大な熱意と容赦ない批判精神をいだいて、現実の生活を描写していくとき、芸術的な、国を超越した、永遠の魅力を追求するのである。空間、時間のいずれにも普遍性をもつ魅力を。
7.文学観念上、モダンリアリズムは伝統的なリアリズムに対して、様々な観点から突破、深化、豊穣化、発展を遂げる。表現手法上、モダンリアリズムは如何なる現代的新手法をも排斥しない。
8.芸術風格上、モダンリアリズムは、最もすぐれた風格はそれ自身であることを主張する。多様性を提唱する。作家の個性化と文壇の多様化を提唱する。
9.言語の面では、簡潔、素朴、達意をつよく求める。民族性と地方的色彩を表現すると同時に、内容上の普遍性をつよく求める。一般に、モダンリアリズムは、地域や国が変ると理解が難しいような方言や俗語を用いない。
これが私の芸術的追求であり、私のいうモダンリアリズムである。私はひょっとするとこれを完璧に実現することができないかもしれない。しかし私はそうありたいと努力するのである。私よりよりうまくこれを実現できる人がいてくれることを望む。私は理解者、志を同じくするものを見つけたいのである。

(『中国当代作家百人傳』求実出版社1989)

作品集・単行本

『耿耿難眠』中短篇小説集 人民文学出版社 1984
『歴史将証明』中短篇小説集 山西人民出版社 1984
『新星』長篇小説 人民文学出版社 1985
『孤島』長篇小説 北岳文藝出版社 1986
『夜與昼』長篇小説 人民文学出版社 1986
『人生咨詢録』人民文学出版社 1989.9
『蒙昧』長篇小説 花城出版社 2000.7/19.80元

 
受賞作品

「三千万」短篇小説 『人民文学』 1980年全国優秀短篇小説奨

邦訳

「夢、夢に非ず(夢非夢)」大石智良/訳 『季刊中国現代小説18』1991.7
「冷たい家(冷房子)」大石智良/訳 『季刊中国現代小説18』1991.7

 
作成:青野繁治

Chinese Literature Site

error: Content is protected !!