梁斌

Liáng Bīn
梁斌
りょう・ひん

(1914.3~1996.6)

梁斌小伝:

 本名、梁維周、1914年3月河北省蟸県梁家荘の富裕な農民の家庭に生まれる。5歳で字を習いはじめ。8歳で正式に村学に入る。最初から新しい国語教科書で学んだ。1925年夏、県立高等小学校に入学。ここで蟸県最初の共産党員となる張化魯、宋卜舟、劉顕増と出会う。張化魯は梁斌の国語の先生で、学校に図書館をつくることを提唱し、『新青年』『創造季刊』『東方雑誌』などを備え付けた。宋卜舟は張化魯をひきつぐ国語の先生で、郭沫若と創造社の崇拝者だった。1927年春、梁斌は中国共産主義青年団に加入した。
 1928年、高等小学校は卒業したが、母の病のため、進学はできなかった。翌年の秋に母親は他界している。
 1929年の冬、村で税金に反対する大衆闘争が発生し、梁斌も参加したが、これは後の作品の題材となった。
 1930年夏、保定の省立第二師範学校に入学。そこは共産党員、共青団員、反帝大同盟、左翼作家聯盟などのメンバーが多数在籍する革命的な学校だった。1931年、国民党西山会議派の校長張陳卿を駆逐する闘争に参加し、数日で成功した。満洲事変が始まると、学生たちは宣伝活動に出て行き、蒋介石の不抵抗主義を批判した。国民党当局は、1932年に第二師範学校を強制的に解散させようとし、反対する学校側を武力で弾圧した。当局が新聞に掲載した三十名の共産主義思想犯のなかに梁斌の名前があった。
 梁斌は学校を失い、北京に逃れて行った。彼の先生丁浩川と同級生路一の紹介で左聯に加入。毎日、北京図書館に行って勉強し、北京や天津の新聞雑誌に投稿した。「芒種」「從蜂群説到中国社会」「農村的騒動」「救“災”與做“災”」「吃苦與耐労」「翁都草堂随筆」「処世談」「從“自殺”説到“被殺”」「朋友」「朋友的悲哀」などの散文、雑文を発表している。
 1934年、第二師範の他の学生たちとともに逮捕。一か月後に釈放されるも北京には居られず、山東省立劇院に入学し、演劇を学ぶ。翌年、北京に戻り、直隷新館に住み込んで、路一とともに働き、文学創作の活動を継続する。彼自身熟知している農民闘争を題材に、「夜の交流」という短篇小説を書き、北京左聯の『伶仃』月刊第二号に発表した。
 1936年、帰郷し、病気治療。37年、路一、張青季の紹介で中国共産党に加入。蟸県に抗日救国会を設立。1938年以後、冀中地区新世紀劇社社長をつとめる。
 1939年、蟸県遊撃第11大隊政治委員、冀中文化界抗戦建国聯合会文芸部長、晋察冀辺区文聯委員を兼任、1941年より冀中文化幹部学校副校長を兼任。この時期、短篇小説「三個布爾什維克的爸爸」「爸爸做錯了」「血撒盧溝橋」「抗日人家」「五穀豊登」などの台本を書いている。1943年、中篇小説『父親』を発表。
 1945年から47年にかけて、中国共産党蟸県県委員会宣伝部長、副書記などを歴任。1948年以降、南下して湖北襄陽地区委員会宣伝部長、襄陽日報社社長を担当。匪賊討伐、減租減息、土地改革に参加。
 1952年、武漢日報社社長に就任。1954年年末、北京中央文学講習所支部書記に就任。1955年、作家協会に加入。1953年から長篇小説『紅旗譜』の執筆を開始、1956年末までには、一部から三部までの初稿を書き上げているが、数年にわたる作業による過労から病を得て、1957年春から病床につくことになる。1962年には病が好転したので、半日の作業ができるようになった。
 『紅旗譜』第一部は1957年12月に出版されたが、党の指導する農民運動の壮麗な叙事詩と称された。
 『紅旗譜』第二部「播火記」は1963年に出版された。高蟸の暴動を描いた一大スペクタクルである。
 1965年、梁斌は抗日戦争を反映した『伶家』を創作、すでに完成していた8章の初稿のうち、前3章を『天津日報』に発表したが、残りの5章は、文化大革命中に散逸してしまった。
 文化大革命中は、ひどい中傷と迫害を被り、『紅旗譜』と『播火記』は攻撃を受けた。しかし1972年から長篇小説『翻身記事』の創作を開始、1977年の年末に出版できた。
 文化大革命後、『紅旗譜』第三部「烽煙圖」の改作を行なった。もともと53年から54年にかけて書き上げており、60年代には出版する予定であったが、原稿が没収されて紛失していた。文化大革命収束後に、ようやく見つけ出したものである。
 梁斌は書画にも造詣が深く、1981年には天津美術協会が展覧会を開いた。
 全国政治協商委員、河北省政治協商会議常務委員、河北省文聯主席等を歴任。

『梁斌研究専集』海峡文藝出版社 1986.5)

著書

『紅旗譜』
『播火記』(上・下)紅旗譜第二部
『梁斌研究専集』海峡文藝出版社 1986.5
『一個小説家的自述』中国青年出版社 1991.6

  
 
作成:青野繁治

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