水運憲

Shuǐ Yùnxiàn
水運憲
すい・うんけん

(1948- )

水運憲小伝

 戸籍は湖北武昌。1948年5月5日湖南省常徳市に生まれる。  家庭の事情により、出世後父親に会ったことがない。生活は姉とその夫の収入に頼る。母親は強靱な  旧中国女性で、父親がいないという欠点を補うため、幼い頃から意識的に私の男子意識を誘発し、12才の時、家庭を離れ、一人で外で勉学させた。幼少時代から既に自尊心と進取心を培っていた。 中学はある大型水電現場の子弟学校で学習した。この学校の教師は、水電現場系列の高級知識階級からで、学識は広く、素質は高い。このため、私は大変良い基礎教育を受けた。  中学校卒業時、成績は優秀であったが、家庭の出身のため、高校へ進学することができなかった。このときから幼少の金色の夢は消滅しはじめた。  1966年工場の労働者になり、十年の間大変な苦労をした。厳しい体力労働以外に、 激しい精神的圧力によって、正常な人の法的権利さえも迫害され、採用,昇級,結婚などすべて圧力,曲折を受けた。この時期、私の精力はすべて勉学に注いだ。ざっと学習するのではなく、系統的に学ばねばならない。 政治経済,哲学,歴史から文芸理論,小説,民間文学に至るまでの書物を、一冊一冊読んでいった 。 これは一種の委託であり、要求でもあった。このような要求はちょうど十年間続いた。   現実生活に対して格別敏感で、また長い時間に渡る蓄積と思考によって、1978年に創作を始めたとき初めての作品は大きな反響をよんだ。大型劇《幸福に乾杯!》は、北京人民芸術劇院によって、全国大賞に選ばれた。続いて、中編作品《うちわもめ》を発表し、これも全国大賞をとった。  今私は正式に、中国作家協会湖南分会の専業作家になった。絶えず新しく前進するために、1985年 武漢大学に入学した。今は、勉学に励んでいるところである。社会変革が私を激動させる。文学は重大な社会変革を反映せねばならないと、私は主張する。重点は社会改革を形作り浮き彫りにした各種各様の人々にある。だから、彼らの複雑で多様に変化する社会生活を探索し、映し出し、彼らの奥底に潜む心理を分析し、掘り起こさねばならない。  人とは、社会環境を離脱しては存在することはできない。社会の存在とは、各種の行為や道徳の規範で維 持している。これらの規範は人の一切の言論と行動、思想を制約している。また人の本性は現状に満足せず、 絶えず完璧を追求する。社会規範にたいして、人々は種種の思考と検証を行い、それによって突破と変革の要求が生まれ、必然的に社会規範の修正と発展がなされるのである。だから、人々は更に高い社会生活の領域に立ち入り、更に高い段階の思考、検証、突破、変革を展開し、社会規範の更なる修正と発展を促進させるのである。このような循環は社会進展の法則である。むかしから今に至るまで、人々の労働と生活、理知と情感はすべてこの循環過程と衝突と協調、また衝突と協調を繰り返している。広い意味からすると、これは文学の永久の主題である。文学は社会の思考に対して、決して一時一事をも縛らず、人の魂と血液の中に染み込んでいる。それは、人々の思想の奥深くにある民族的伝統意識を研究し、人々のこれらの伝統意識に対する継承、反省、抗争を研究し、創造し、発展させる。このため、文学はまず社会環境に着眼し、各社会規範の制約の下にある人の内心に着力するべきである。このようにしてこそ、文学作品は人類の情感に真に作用することができるのである。  風格上、私は中国古代の豪放派と西方の哲学思想を、極力差別なく受け入れようとした。雄勁、質素、熱情、深さを融合させることを主張した。

 作成:高橋みち子

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