石言

Shíyán
石言
せき・げん

(1924-2002)

石言小伝

 本名は胡石言。1924年10月浙江省平湖県出身。
 父母共教師。父胡士瑩は、長期にわたり中文科の教授として勤める、著書に『話本小説概論』等がある。幼い頃から文学を愛し、15才から文章を書きはじめ,魯迅、茅盾、巴金及びゴーリキー、アプトン・シンクレアなどの小説から社会革命思想の影響をうける。中学時代に学生会会長を勤め、上海で進歩的な学生運動に参加した。上海法政学院で1年学び、1942年5月に新四軍に参加。
 1943年7月中国共産党に入党。戦闘部隊で7年勤め、教育文化方面の職務についたが、三十年あまりの戦闘及び魯南、孟良山固、淮海など有名な戦争を自ら経験し、一度負傷した。初めての短編小説『子弾』を1944年に発表、建国後1950年に代表短編小説『柳堡的故事』を発表し、広範囲にわたって重視され、論争を巻き起こした。その後、長期に渡って、文芸科長、劇団団長の任務につき、小説劇の計画、指導に力を尽くした。彼の小説は、人間らしさと、人情を重視し“百花斉放”を強調した1957年、1962年になり、やっと十数編の小説を書いて、発表した。
 また、1957年には、『柳堡的故事』を映画化。この映画と主題歌『九九艶陽天』は、今でも語り、歌われている。
 “文化大革命”の間、農村の開墾部隊に下方され、下士官とともに、牛や豚の世話を4年間する。楽観的な性格のため、青年戦士を愛し、また彼らの励ましと教えを受けた。文芸指導者の職務に新しく就き、中国共産党第十一回三中全会正確路線の指導のもと、五十歳あまりで二度目の創作の青春を始めた。
 その一方で、創作室主任の任務に就き部隊専門創作の指導を続けた。また『新四軍故事集』、『決戦準海』『百万雄師渡長江』、等の文集を中心となって執筆、編纂した。またいっぽうで、人間性や人情を重視するという特色や、戦闘的、抒情的な風格をもち続け、中短編小説を一遍かいた。そのなかで、『漆黒の羽毛』と『秋雪湖の恋』は、それぞれ1982年、1983年に全国優秀短編小説賞を授賞した。
 私はここ何年か『陳毅伝』と『陳毅文学伝記』を中心となって執筆した。後者は全12巻、およそ百八十万字、すでに六巻まで出版されており、全国で好評を得ている。
 1957年に、中国作家協会に加入師、今では、中国作家協会理事、中国作家協会軍事文学委員、中国作家協会江蘇分会副主席を勤めている。

創作思想

 現実主義の作家であるが、作品の中にはいつもロマン主義の成分があり、現代主義の技術が成就するのも楽しんでいる。小さい頃から中国の古代白話小説の影響を受けて、物語性が強く、矛盾が鋭く、人物の性格 が鮮明な作品を好む。魯迅、ゴーリキー、ディケンズ、トルストなどの大きな影響をうけている。文芸理論上は、マルクス主義の美学を信奉している。
 小説創作上求めているものは、
 一、社会性と伝奇性の結合 小説の主人公の運命と性格は普遍的な社会主義でもあり、独特な個性との遭遇でもある。前者は一般的なものに流れ、後者は風変わりな物に偏っている。実際上、共通性と固有性の統一であり、典型化である。社会性がおおきくなるほど,伝奇性もつよくなり、二者は結合して、読者層が広がっている。
 二、おく深い思想と高遠な境地の結合 小説は深層の社会矛盾と人間矛盾を示し、思弁性と哲理性を備えているべきである。しかし、深刻な矛盾に直面すると、小説の主人公や小説の基調は、高尚な情操や楽観の精神を持つべきである。二者が結合して,小説はこのとき、この場所で、この人にある最高の精神境地を持つ可能性を備える様になる。
 三、闘争性と抒情性の結合 作品はすべて軍事文学或いは、社会変革の文学で、闘争精神を供えており、愛憎関係が明らかで、敵に打ち勝つ。また、人間性、人情、友情、親情、愛情及び人民、人類に対する深い愛を重視している。二者をできるだけ結合させ、作品の感情の内面を強くし、外観を美しくしようと努めている。
 何年にも渡る中国人民軍隊の歴史の研究を通して自分達中国軍事文学作家に深く感じるところがあり、中 国人民戦争や中国人民軍隊、中国人民の戦争観に深い再認識や、他国との戦争を比較する必要があった。何 段階にも戦争中の矛盾に対する発掘作業を行い、中心機密を知らなければならない。中国人民戦争を把握し、人民軍隊の更に多くの特徴と、長所を把握し、元帥から下仕官に至るまでの心の内の奥義や、彼らの歴史的限界をも把握しなければいけない。巨視的で全面的な観察を行い、中国人民戦争が中国社会の進歩や中国民族性格の発展にいかに偉大な推進作用があり、どういった副作用があったのかを理解しなければならない。
 中国人民には、正義戦争を誉め称える戦争観があり、これは、西洋人の非正義戦争を嫌う戦争観と本質的 に、相反するものである。こういった願望がある、本当らしく、感動的に、説得力をもって、中国の正義の戦 争やこれによって形成される平和を愛し、侵略者や圧迫者を喜んで攻撃する戦争観を書き上げることは、世界各国の

 
 作成:水上弘子

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