(1896-1981)

 茅盾小伝：

　本名沈徳鴻、字が雁冰、後の茅盾である。1916年に北京大学予科を出たが本科に進まず、上海の商務印書館編訳所に就職した。ここで翻訳や編集事務をする傍ら、『新青年』の影響をうけ、外国文学紹介の文章などを新聞などに投稿するようになった。1920年から『小説月報』の編集にかかわり、21年から編集長に抜擢される。おりしも北京で結成された「文学研究会」の発起人に名を連ね、『小説月報』の誌面を会に提供する形で「文学研究会」を支えた。この頃の評論活動が、後のリアリズム小説家茅盾を準備したのである。1921年中国共産党結成と同時に党員となり、社会主義文芸理論の紹介にも力を注いでいる。1949年以後は、文化部部長などの要職を歴任。1978年頃から回想録を執筆、『新文学史料』に連載し、後に『我走過的道路』として出版。

参考書・研究書

かキュウコ

『薄明の文学』松井博光／著　東方書店　1979.10.15
『十五年戦争期の中国文学――国民党系文化潮流の視角から』阪口直樹　研文出版　1996.10.11
『茅盾論　「新文学」の批評・メディア空間』桑島由美子／著　汲古書院　2005.2.28
『上海モダニズム』鈴木将久　中国文庫　東方書店発売　2012.4.17
『「作家」茅盾論――二十世紀中国小説の世界認識』白井重範／著　汲古書院　2013.7

 翻訳

『茅盾作品集』茅盾著,尾坂徳司譯　青木書店　1954
『阿Ｑ正傳・李家荘的変遷他』竹内好・岡崎俊夫／訳　新潮社現代世界文學全集42　1956.9.1
　　「林商店」「春蚕」を収録
『世界文学体系　62　魯迅・茅盾』筑摩書房　1958.7.10 
『東洋のリアリズム』茅盾／著　加藤平八／訳　新読書社　1959.3
『腐蝕（ある女の手記）』小野忍訳　岩波文庫　1961.2.5
『記録文学集』郭沫若, 茅盾, 呉運鐸[著],岡崎俊夫,竹内好,竹内実訳 平凡社 1962
『子夜』上・下　小野忍・高田昭二訳　岩波文庫　1962.10.16，1970/11/16
『夜明け前（子夜）』竹内好訳 平凡社 1963
『霜葉は二月の花に似て紅なり』立間祥介訳　岩波文庫　1980.10.16