葉辛

Yè Xīn
葉  辛
よう・しん

(1949- )

葉辛自伝

 私は1949年10月16日に上海で生まれたが、様々な理由でこの都市は世に名を知られている。しかし、上海が私に残した最も印象深いものといえば、濁った黄浦江と汚れた蘇州江、そして通りの騒々しい人の流れである。19歳より以前は、私は上海で永三小学校、徐匯中学校、九江中学校にて勉強していた。永三小学校はかつては中国でも名高い小学校であったし、徐匯中学校は百数十年の歴史をもっていた。この二校はどちらも名高い学校である。そして九江中学校は、有名な外灘にごくごく近く、放課後や昼休みによく黄浦江のほとりを歩いたり、輝かしい未来にあこがれたものだ。
 「文化大革命」は私の大学進学という夢を打ち砕いた。1969年3月31日、二三年の間、「ノンポリ」をした後、私は全国をすっぽり巻き込んだ下放運動に従って、情熱と良好で敬虔な願望を抱いて、上海 から五千里(二千五百キロメートル)の彼方にある、西南地区貴州の山村にあるちっぽけな村で、人民公社 の生産隊に入隊し定住した。当時の言い方では、「貧農、下層農民を受け入れて教育する。」といった。辺鄙な山村での厳かで厳しい生活は現実的にしっかりと、私のような大都会育ちの青年を教育した。まさにそこにおいて、私は祖国大地の農民の下に生きていることを知った。まさにそこにおいて、試練を経験し、次第に生活の真諦を知り、私達同年代の運命を考え、感じ、考えた結果を私の最初の作品に書いた。私の青春、私の求めているもの、私の事業、さらに私の愛、これらは全てこの歳月に始まった。一人の農民がやらなくてはならない仕事を普通の農民のようにする以外に、暇さえあれば私はペンを持ち物を書いた。十年間、私はかまどを温め、鉄道を修理し、農村の教師を務めた。
 1979年10月、私は中国作家協会貴州分会へ移動し専業作家となったが、その時既に本を五冊出版していた。
 1980年4月から9月、私は中国作協文学講習所で第五期生として勉強した。
 1982年3月、私は田舎での十四年間の生活を終え、省都の貴陽に居を構え、今に至る。
 1983年、私は第六期全国人民代表大会の代表に選ばれた。
 1984年7月、専業作家という職を離れ、貴州文芸月刊『山花』の編集主幹となった。
 1985年3月から4月、中国青年文芸代表団団長という身分で団を率いて、スリランカを訪問した。同年9月、中国作家代表団に付き添って、朝鮮民主主義人民共和国を訪問した。
 現在、全人代代表、中華全国青年連合会常任委員、中国作協理事、貴州作協副主席、貴州省青年連合会副主席を務める。

最近の生活

 私がペンを持ち創作し、作品を発表していた頃、人としてまだ若いのに抑え切れない衝動に任せて私達の同年代の若者の運命と境遇を伝え、それによって世間の人々に私達に対する同情と理解を求め、私が見てきたところの悪人どもと俗っぽい風習を非難し、みんなの特に私のような若者の心の底にある高尚な感情を呼び起こし、前向きな追求の精神を発奮させたいと焦っていた。このため、私に関して言うと、創作はまず生活への観察とそれによって感じたことであり、すなわち人々がいつも言っている経験なのである。感じ、経験したなかでのみ人の心は震え感動しペンを持ち創作することになるのだ。創作をしばらく実践した後、私はこういった感じたことや体験を人の内心の奥深くに滑り込ませ、人の魂に触れさせなくてはいけないと思った。
 ちょうど中国の諺にもあるようにまさに、「人上一百、形形色色」(十人十色)である。これは生活の現実で、一種の客観的存在である。文学創作は当然千差万別の性格を書き表すべきである。人と人と間に差異があるばかりでなく、つまり人の心、それ自体も一つの世界で同一人物の体にありながら、その人の心の中が果てしない砂漠のように空虚なこともあれば、豊かに茂る草原のように満たされていることもある。また、彼の心が暴風を巻き起こし、暴雨を呼び起こすこともあるし、逆に一の大波小波すらないくらい靜かなこともある。創作とはこのように複雑な人の性格を十分把握し、歴史的、時代的、哲理的、民族的巨大背景の 上で考察を加えてはじめて、よりよく人の真心を呼び起こすことができ、よりよく人の真実の信仰と追求を呼び起こすことができ、人の生活に対する勇気と力を呼び起こし、一切の暴政に対し蔑視するようにさせ、世間の悪をなくすこともできる。
 私の所有する作品と若い創作実践は大体こういった経験を証明できた。生活の実際の姿から離れ、作り事や何かいいかげんにでっちあげようと企んだ時、ペンを置くと必ず十分なくらい辛く、不安な気分になって、いやいやながら活字に印刷したが、厳粛な読者の批判た作家の良心の呵責を受けねばならなかった。

(『中国当代作家百人傳』求実出版社1989)

 作品目録:

『高高的苗嶺』長編小説1977年上海人民出版社
『我們這一代年軽人』長編小説1980年中国青年出版社
『峡谷烽煙』長編小説1980年人民文学出版社
『風凛冽』長編小説1982年中国青年出版社
『蹉tuo歳月』長編小説1982年中国青年出版社
『緑蔭晨曦』長編小説1983年人民文学出版社
『葉辛中篇小説選』1983年貴州人民文学社
『帯露的mei瑰』中編小説1984年重慶出版社
『三年五載』長編小説1984年人民文学出版社
『在醒来的土地上』長編小説1985年北京十月文芸出版社
『轟鳴的電機』長編小説1985年『小説界』第一期
『家教』長篇小説 中国文聯出版公司 1986.10/1.05元

 作成:横田祥子
 

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