蔡測海

Cài Cèhǎi
蔡測海
さい・そくかい

 
蔡測海自伝:

 父は粗野な人間で、それが大量に文章を書き、大地の絵をかき、一年の四季を書き、終生かけて農夫に鍛え上げられた。私は自分の家系で最初の読書人である。その最初の読書人が本を書かなければ、天の理が許してくれない。そこでちびちびと文章を書いた。それでもとうとう家の庭を出て、辺鄙な蛮地も出て、国境線を越えて、「国際優秀小説選」に選ばれ、「世界名人録」に名を連ねた。父の教訓は、「飯をたく釜はあるが、文章をたく釜はない」である。私は実に親不孝者だ。この頃五穀の見分けがつくようになったが、農業をこととすることもなく、しばしば失望感に襲われる。成語小辞典をめくって、両親が生んだこの卑しい骨肉に卑しい名前をつけて、「測海」としたのは、見識が狭い(管のなかから天をのぞき、水びしゃくで海の量をはかる)という意味だ。両親はもともと私に「沢海」という名前をつけていた。わけもなく私に大きな沢、大きな海を封じたのだ。私が辰年辰月辰の時に生まれ、干支も辰であったからだ。

(『母船』作家出版社1986)

作品集・単行本

『母船』文学新星叢書第二輯 作家出版社 1986.8/1.80元

邦訳

「白河」牧田英二/訳 『季刊中国現代小説3』 蒼蒼社 1987.11
「死の黒洞をぬけて」(穿過死亡的黒洞)牧田英二/訳 『季刊中国現代小説17』蒼蒼社 1991.4

 作成:青野繁治

 

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