Yū Luójǐn
遇羅錦
ぐう・らきん

(1946- )

遇羅錦小伝：

徐州に生まれ、3歳の時、一家で北京に移住。1957年に両親が右派とされる。1965年、北京市工業美術学校を卒業し、玩具工場で子供向け玩具のデザインに従事。1966年、遇羅錦の20冊の日記が紅衛兵に押収され、“反動的言論”が見つかったとして、3年間労働改造農場に送られる。　1970年に労働改造農場が解散となり、河北臨西県に下放。その後黒竜江へ行き、北京出身の知識青年と結婚、戸籍を貧困地区から東北に移す。男子が生まれたが、4年後に離婚。北京に戻って、農業、臨時工、保母などをする。1978年北京の戸籍を持たない遇羅錦は北京の労働者蔡鍾培と結婚。1979年、名誉回復されたが、名誉回復証明書は発行されず、20冊の押収された日記も返還されなかった。1980年5月16日、遇羅錦は北京市朝陽区人民法院に訴状を提出し離婚を求めた。この間、紀実文学「ある冬の童話」を書き上げ、北京の文学季刊誌『当代』に発表。同年、玩具工場を退職し、北京市委員会直属の『学習と研究』雑誌社で、美術担当編集員となった。当時の中国では、離婚は道徳的タブーとされていたため、中華人民共和国建国以来、一方が同意しなければ、離婚は成立せず、20年以上離婚問題を引きずる無数の有名人や庶民がいたため、遇羅錦の離婚が公になると、劇的な反響を巻き起こした。北京の著名雑誌『新観察』と上海の著名誌『民主と法制』は1年にわたって議論を繰り広げたが、それぞれの意見は真っ向から対立した。新華社の「内部消息」は「一人の堕落した女」を掲載し、遇羅錦に対して道義上の「死刑」を宣告した北京市中級人民法院および朝陽区人民法院が認可した離婚判決書を、個人のプライバシーを掲載したことのない第一党機関紙『人民日報』に掲載した。朝陽区人民法院は第一審に際し公開討論に同意した裁判長党春源氏は、北京市中級人民法院によって、規律違反を批判され、職権はく奪の上、区人民法院の雑用係に降格された。1982年遇羅錦は『春の童話』を『花城』誌に発表した。同作品は『北京日報』などの全国紙誌から批判を浴び、『花城』はやむなく「自己批判」記事を掲載し、編集長、副編集長は免職、スタッフも全員3か月間自己批判書を書かされた。『春の童話』を掲載した号は即刻販売禁止。遇羅錦が北京電影制片廠のために執筆していた『冬の童話』のシナリオも夭折することとなった。ほどなく中国共産党の「反精神汚染」運動のなかで、誌紙は再び遇羅錦批判を行い、遇羅錦は停職、家庭謹慎処分となった。1982年7月遇羅錦は、北京鋼鉄学院(現北京科技大学)の誤りを認めない57年右派分子である呉范軍工程師と知り合って結婚。1986年2月、「ある冬の童話」を翻訳していたドイツ籍の華人出版業者に招かれて、ドイツを訪問。同3月政治的保護を求めて、ドイツ定住を申請した。遇羅錦は呉范軍をドイツに招きたいと考えたが、呉は中国を離れることを望まず、1992年呉范軍の方から離婚が提起された。1993年8月、遇羅錦はドイツ人ハイマン・ウェイボと結婚した。1986年の出国から1989年までに、「ある冬の童話」と『春の童話』は、英語、フランス語、ドイツ語、日本語、フィンランド語に翻訳され、国内、香港、台湾で出版された中国語版も12種類にのぼった。2009年、遇羅錦の42万字の作品『ある長編の童話――中国でのわが40年1946-1986』　が香港晨鐘書局から出版され、伝記映画シナリオ『遇羅克』と14万字の自伝『童話のなかのある地の書』(2010年台北允晨文化出版)が完成した。2010年8月香港開放出版社は、編集人金鐘の編集になる『遇羅克――中国人権の先駆者』を出版、遇羅錦の書いた8万字の映画シナリオ「遇羅克」を収録した。2013年10月、香港晨鐘書局は遇羅錦の編著『遇羅克と中学文革報』　を出版した。その副題は「遇羅克はそのために死んだ　中共によって今も封印されている六号の雑誌」であった。発行元は田園書屋である。そこには加工し補充された映画シナリオ『遇羅克』とあらたに全国から寄せられた献辞も収録されている。2013年3月から国内の「共識網」「読書欄」に42万字の『ある長編の童話』と16万字の『異星人に送る66通の手紙』が掲載された。　（維基百科）