Lǔ Yàn
魯彦
ろ・げん

（1902.1.9～1944.8.20）

魯彦小伝：

　本名、王衡、浙江鎮海生まれ。少年期、高等小学校の教育を受ける。1920年、李大釗、蔡元培らによって創設された「工讀互助団」に参加、上海から北京大学聴講に行った。

　1923年夏、前後して、湖南長沙平民大学、周南女学校、第一師範学校で教鞭を執る。同年、『東方雑誌』11月号に処女作「秋夜」を発表。その後、続々と小説を発表したが、そのなかには、軍閥の殺人暴行を描いた初期の代表作「柚子」がある。1926年、第一小説集『柚子』を出版。

　1927年、湖北武漢で『民国日報副刊』の編集にあたる。1928年春、南京国民政府国際宣伝部で、エスペラントの通訳を務める。

　1930年厦門に行き、『民鐘日報副刊』の編集にあたる。その後、福建、上海、陝西などを転々としながら、中学校教員をつとめ、不安定な生活のなかで、文学創作における豊穣期を迎える。ロマン主義、象徴主義など異なる創作方法の実験を行いながら、次第に写実派郷土文学の重要な作家に成長する。1927年、『小説月報』7月号に発表した「黄金」は、一人の小資産家が、不断に災禍に見舞われる旧社会の世相を描いた。それ以後、より多く現実に注目するようになる。抗日戦争前夜、重要な長篇小説作品『野火』を出版し、江南農民の悲惨な生活と自発的に反抗闘争に向かう真実の情景を描写した。

　抗日戦期間には、「砲火下的孩子」「傷病医院」などの短篇小説を創作し、また作品集も出版した。また『広西日報副刊』に長篇小説『春草』を連載している。

　1941年には中華全国文藝界抗敵協会の組織工作に加わる。この時期の最も大きな貢献は、大型文学刊行物『文藝雑誌』を主編し、抗日戦争後期の大後方において最も影響力のある刊行物としたことである。1942年最後の小説集『我們的喇叭』を出版。1944年、困窮と病魔のなか、桂林において死去。

沐定勝『中国現代作家大辞典』1992

著書・作品集

『魯彦選集』新藝出版社　1958.6

研究書・参考書