反思文学

Fǎnsī Wénxué
反思文学
はんしぶんがく

解説

 作家の「文化大革命」以前の歴史に対する回顧と再認識を反映する作品。1979年初めの茹志鵑の短篇小説《剪辑错了的故事》、劉真の《黑旗》、張弦の《記憶》、高曉声の《李順大造屋》、魯彦周の中篇小説《天雲山伝奇》、張一弓の中篇小説《犯人李銅鐘的故事》などがそれである。

 これらの作品は、「反右派」、「大躍進」、「四清運動」さらには、時間的スパンのもっと長い歴史の場面に対して、かつてなかった忠実さで、歴史的真実の描画を行った。作家たちは史的唯物論の精神にのっとって、歴史を認識しなおし、分析しなおし、ついに歴史に本来の姿を取り戻し、人民の苦楽辛酸のにじんだ筆で、人民のために碑を立て、伝記を著したのである。

(『中国当代文学手冊』湖北教育出版社1986 )

 1979年下半年以降、思想解放運動の展開と深まりに伴って、小説創作は、「傷痕文学」に続いて出現した第二の潮流である。これらの作品は、人々のすでに歴史となった多くの重大な社会問題にたいする反省的思考と再認識を反映したものである。 王蒙の《布礼》《蝴蝶》、方之の《内奸》、茹志鵑の《剪辑错了的故事》、高曉声の《李順大造屋》、魯彦周の《天雲山伝奇》などである。それらは、各々の角度から根元をたぐり、極「左」路線の源およびそれがわが国で生まれ膨張した社会的原因を追究した。 これら反思文学作品は、極「左」の危険を徹底的に暴露し、沈痛の歴史的経験を総括するとともに、人民の力と善良な魂を求め表現することに力を注ぎ、人々が紆余曲折の道のりで、困難な逆境のなかでも、依然として崇高な信念や高尚な品格、純真で美しい感情、そして理想に対する粘り強い追求の気持ちを失わなかった姿を描きだしている。 そこにわが民族の偉大な性格を示し、社会主義制度下の人間の真の価値を示しているのである。

『中国現当代文学辞典』 遼寧教育出版社 1989)

参考資料

『声無き処に驚雷を聞く 「文化大革命」後の中国文学』高島俊男/著 日中出版 1981.6
『文学の自立を求めて 今日の中国文学を読む』高島俊男/著 日中出版 1983.10

作成:青野繁治

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