少数民族文学

 中国は多民族国家で、大多数を占める漢族のほかに、回族、蒙古族、朝鮮族、満洲族、チベット族、ウィグル族、ナシ族、ペー族、ミャオ族、チワン族など50を越える少数民族が人口の5パーセントほど存在する。その中には固有の言語や文字を有するものもあり、独自の民族文化をもち、固有の言語による神話や民族の歴史を語りついでいる民族も多い。中華人民共和国建国初期には、少数民族の文化に対する重視政策をとり、少数民族の口承文芸を漢語に翻訳して紹介したり、少数民族の芸能を映像に残したり、といった活動が盛んに行なわれた。「阿詩瑪」や「劉三姐」の物語はそのようにして広く知られるようになった。時を経て、少数民族の中から、漢語を用いて創作する世代が登場し、一定の評価を得るようになった。マラチンフの作品はその先駆的な役割を果たしたと考えられよう。少数民族の民話については、西脇隆夫氏が「日中友好新聞」に連載で民話を紹介したものがあり、単行本としても飯倉昭平の『中国民話集』やスチンバートルほか著『内モンゴル民話集』がある。また文化大革命以後の少数民族文学については、牧田英二編訳『中国少数民族文学選』『琥珀色のかがり火』『風馬(ルンタ)の耀き』などがある。
参考書

『中国現代少数民族文学概論』呉重陽/著 中央民族学院出版社 1992.8

甘粛少数民族文学叢書
『塵埃裏』沙戈/著 甘粛文化出版社 2009.1
『山地民謡』杜曼/著 甘粛文化出版社 2008.12
『西部之恋』馮岩/著 甘粛文化出版社 2008.12
『敦煌沙』趙之洵/著 甘粛文化出版社 2008.12
『阿干歌』馬自祥/著 甘粛文化出版社 2008.12
『北方女王』鉄穆爾/著 甘粛文化出版社 2008.12
『生命的夜露』敏彦文/著 甘粛文化出版社 2008.12
『海子湖邊沙棗情』瑪爾簡/著 甘粛文化出版社 2008.12
『触摸紫色的草穂』完瑪央金/著 甘粛文化出版社 2008.12
『火苗在一堆干柴上舞踏』賀継新/著 甘粛文化出版社 2008.12
著者紹介
中国西部文学論叢

『中国西部文学縦観』余斌/著 青海人民出版社 1992.9
『高地上的寓言』周政保/著 青海人民出版社 1992.9
『西部的象徴』管衛中/著 青海人民出版社 1992.9

その他

『蔵族文学研究』中国蔵学出版社 1992.6

作成:青野繁治

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