厳歌苓

Yán Gēlíng
厳歌苓
げん・かれい

(1958~ )

 厳歌苓は現代中国における有名な作家で、小説家としても劇作家としても賞賛を受け英語圏でも人気を博し、現在はドイツに住んでいる。1958年に上海で生まれ、知識階層の家庭で育った。1980に小説、短編、中編、散文、芝居の台本などの作品の発表を開始した。1986年には中国作家協会に加わり、1989年にアメリカに留学。1990年にシカゴコロンビア芸術大学に入学し修士の学位を得た。彼女は2010年にいたるまでに中国大陸、台湾、香港、アメリカ、イギリスなどで20冊以上の本を出版し、30以上の文学賞と映画に関する賞を受賞している。代表作には「扶桑」「シュウシュウの季節(原題:天浴)」「金陵十三釵」などがあげられる。2006年には中華全国婦女連合会によって「2006年・女性のライフスタイルに影響を与えた10人の女性」に選出される。
作品紹介

「シュウシュウの季節(原題:天浴)」
厳歌苓の短編小説。1998年に映画ラストエンペラーの主演女優であるジョアン・チェン監督の初監督作品として映画化。中国では政治的要因と性的描写により上映が禁止されている。

あらすじ
1975年、中国の成都に住む少女・秀秀は下放政策により地方に送られ、少数民族の老金と共に暮らすことになる。無骨な老金と反発しあいながらも秀秀は徐々に打ち解け、労働生活にも慣れていく。しかし、本心では早く故郷の成都に帰りたいと考えていた。
やがて、成都に帰る予定の日が来るが彼女に本部からの迎えは来なかった。彼女が地方で労働に従事している間に文革の熱は冷めていたのである。彼女は早く故郷に帰りたいという思いから、本部につてがあると言う男に体を許してしまう。しかし一向に帰郷のめどは立たず、その後彼女は幾人もの男に体を許してしまうのであった。
ある時、ついに彼女が妊娠していることが分かる。老金は彼女を街に連れて行き彼女に中絶手術を受けさせる。失意のままテントに戻った秀秀は体を壊せば故郷に帰れるのではないかと思い、老金に自らの足を撃ってくれるように頼む。秀秀は故郷の街を出た時のように髪を結い直し、赤いスカーフを巻いた。彼女の真意を悟った老金は銃を構えた。草原に二発の銃声が鳴り響いたところで物語は終わる。

「金陵十三釵」
厳歌苓の短編小説。2011年公開の中国映画でチャンイーモウにより映画化。第84回アカデミー賞外国語映画賞中国代表作品。南京事件を題材としたフィクション作品で2011年の中国の年間興行第1位の大ヒット映画。

 作品集・単行本

《金陵十三釵》
作者 厳歌苓
出版社 江蘇文芸出版社
出版年月 2010年7月

目次

金陵十三釵
天俗
白蛇
倒滴河
无非男女
我不是精灵
老人鱼
拖鞋大队
白麻雀
非洲掠影三篇
行路难
古染坊
可利亚
小说是作者的一个梦

『也是亞當夏娃』
『扶桑』中国華僑出版社 1996.2
『畢業歌』江蘇文藝出版社 2013.12

 
日本語訳

 『シュウシュウの季節』阿部敦子訳 角川文庫 1999.10

 
 作成:伊藤広樹

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