复合小说

Fùhé Xiǎoshuō
复合小说
複合小説(ふくごうしょうせつ)

 構造上、複合形式を採った小説を指す。二つ或いは二つ以上の、それぞれが独立した物語或いは主人公を、一定の構造方式を用いて結合し、構成した一部の整った小説作品で、わが国の新時期小説の創作が生活を反映した複雑性、完全性を追求、長編、中篇、短編の芸術的特長を一つにあわせ、また構造芸術の創造を非常に重視する傾向を提起した新しい小説形式の概念である。

複合小説には以下のような特徴がある。1.比較的単一の物語や単一の主人公の小説は、内包が豊富で、特に“複合”する過程で、複数の物語や複数の主人公の内在的な関係から、必然的に新しい意義が発生し、そのためテーマはしばしば多義性を有する。2.生活のあらゆる豊かさ、複雑さに基づき、生活を反映することができる。シーンは比較的単一な小説の方がより豊かとなる。3.構成において、単一的な構成を打ち破り、多くの角度やレベル、糸口といった構成手段を採用し、人間像を描き出すのにはっきりと突出しており、立体感に富んでいる。

 構成形式から見ると、複合小説には以下の三種類の型がある。1.並列形式。二人の主人公が中心となり、二つのストーリーが最初から終わりまで並行して対等に発展しているもの。2.連関形式。すなわち一つの物語がもう一つの物語にかぶさっているもの。中には一つ一つが連なったもの、包含しているもの、その両方が結合したものなどに分類することができる。3.網状形式。いくつかの物語、いくつかの中心が入り混じっていることから、小説の全体の構成を一枚の網のようにしたもの。

 複合小説とは社会生活と文学自体が絶えず発展した産物である。わが国ではすなわち新時期特定の社会の思想傾向と文芸思想傾向の産物でもあり、リアリズムの深化における必然的な結果である。作家たちはこの方面の芸術的実践においてすでに実り多い成果をあげている。例えば茹志娟の『剪辑错了的故事』や、张弦の『被爱情遗忘了的角落』などである。

(『文芸学新概念辞典』文化芸術出版社 1990)

作成:田中洋子

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