Táo Jīngsūn
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(1897-1952) |
陶晶孫小伝: 現代の作家。本名は陶熾あるいは陶熾孫といい、ペンネームが晶明館主、晶孫である。江蘇無錫の人。 (『中国文学大辞典』第7巻 天津人民出版社 1991.10) |
参考ディアスポラとしての言語体験は、陶晶孫に「国語による文学/文学による国語」という、中国新文学を支配してきたパラダイムを相対化する視座を与えたのみならず、時に人間の本源的な体験をも疎外しかねない「エクリチュール」を相対化するラディカリズムに彼を誘った。本章で考察してきたように、彼が中国現代文学史の叙述から排除されたには理由がない訳ではなかった。モダニティをイデオロギー基礎とする文学史という制度は、そもそも彼が体現した類のラディカリズムと異質性を排除することによって成立しているのだから。もしも現在、複数の国民国家から組成されているモダンな世界及びそれを支える原理=モダニティが、その排他性や抑圧性故に厳しい質疑と批判に曝されているとするなら、モダンの秩序から排除され、国家を含む如何なる共同体にも帰属しないディアスポラの存在自体、真の意味における価値の多元化の象徴となるであろう。それこそが、陶晶孫その人及び彼の文学的営為の体現している先鋭的な今日性の所在であると、私は考えるものである。 坂井洋史『逸脱と啓示 中国現代作家研究』汲古書院 2012.12 |
『傻子的治療』 『楓林橋日記』 『陶晶孫代表作』 |
参考書『日中友好のいしずえ―草野心平・陶晶孫と日中戦争下の文化交流』佐藤竜一著 日本地域社会研究所 1999.6 |
作成:青野繁治 |