Zhāng Àilíng
張愛玲
ちょう・あいれい

 (1920-1995.9.8)

張愛玲小伝：

　小説家。筆名に梁京がある。上海出身で、李鴻章のひ孫に当たる名家の出。聖まりあ女学校を卒業後、香港大学に学ぶ。３年後に太平洋戦争が起き、上海に戻ってから本格的な創作活動を開始。最初にみとめられた『沈香屑ー第一炉香』以降、開放迄に盛んに上海の生活を描いた作品を発表するかたわら、４４年には王兆銘内閣の高官、胡蘭成と内々に結婚。この時期、『伝奇』の他、散文集、『流言』を出版している。５２年香港へ渡って『赤地之恋』『秧歌』などの反共小説を書いたのち、５５年に渡米、５８年にアメリカの左翼作家Ferdinand Reyherと二度目の結婚をしているが、渡米後は翻訳中心で創作はほとんどなされていない。大陸より香港、台湾で早くから作品が出版され、特に台湾作家に大きな影響を与えた。９３年現在も皇冠出版社が新版の全集（全１６巻）を発行中。なお自伝を執筆しているという消息もある。

 作品目録

小説

「牛」上海聖まりあ女校『国光』総刊号、１９３６年
「覇王別姫」　『国光』第９期、１９３７年
「沈香屑第一炉香」　上海『紫夢蘭』雑誌、１９４３年５月、収入『伝奇』
「沈香屑第二炉香」　『紫夢蘭』、１９４３年６月、収入『伝奇』〈BR〉 『心経』、上海『万象』月刊第２ー３期、１９４３年８月、収入『伝奇』
「傾城之恋」『雑誌』第１１巻６ー７期、１９４３年９ー１０月、収入『伝奇』
「琉璃瓦」　『万象』第５期，１９４３年１１月，収入『伝奇』
「金鎖記」　『雑誌』第１２巻２期，１９４３年１１ー１２月，収入『伝奇』
「封鎖」　上海『天地』月刊第２期，１９４３年１１月収入『伝記』
「連環套」　『万象』７ー１０期，１９４４年３月収入『伝奇』
「年青的時候」　『雑誌』，第１２巻５期，１９４４年２月，収入『伝奇』
「花調」　『雑誌』第１２巻６期，１９４４年３月収入『伝奇』
「紅薔薇与白薔薇」　『雑誌』第１３巻２ー４期，１９４４年５ー７月，収入『伝奇』
「殷宝絶送花楼会」　『雑誌』第１４巻２期，１９４４年１１月，収入『網然記』
「等」　『雑誌』第１４巻３期，１９４４年１２月，収入『伝奇』
「桂花蒸　阿小悲秋」　上海『苦竹』月刊第２期，１９４４年１２月，収入『伝奇』
「留情」　『雑誌』第１４巻５期，１９４５年２月，収入『伝奇』
「創世紀」　『雑誌』，第１４巻６期，第１５巻１，３期，１９４５年３ー６月，収入『張看』
「多少恨」　上海『大家』月刊第２ー３期，１９４７年５ー６月，収入『網然記』，台湾皇冠出版社，１９８３年６月
「小敬」　上海『亦報』，１９５０年連裁，１９５１年出単行本
「赤地之恋」香港『今日世界』，１９５４年
「五四遺事」　台北『文学』雑誌，１９５７年，収入『網然記』
「怨女」　香港『星島晩報』連載，１９６６年，台北皇冠出版社出版，１９６８年
「半生縁」　１９６８年，先在台湾『皇冠』雑誌刊出，後改名為『網然記』、収入『網然記』
「色・戒」　台湾『中国時報・人間副刊』、１９７９年、収入『網然記』、『浮花浪芯』、収入『網然記』、１９８３年
　　　　　（以上３編約作１９５０年、発表時間晩）

散文

「遅暮」　上海聖まりあ女校『風藻』１９３３年月刊
「秋雨」　上海聖まりあ女校『風藻』１９３６年刊
書評４編，『国光』第１，６期，１９３６年ー１９３７年
「論卡通画之前途」上海聖マリア女校『風藻』１９３７年刊
「心原」　聖マリア女校『風藻』１９３７年刊
「牧羊者素描」上海聖マリア女校『風藻』１９３７年刊
「天才夢」　西風出版社征文，１９３９年，収入『張看』
「到底是上海人」『雑誌』第１１巻５期，１９４３年８月，収入『流言』
「洋人看京劇及其他」上海『古今』半月刊第３３期，１９４３年１１月，収入『流言』
「更衣記」『古今』第３４期、１９４３年１２月、収入『流言』
「公寓生活記趣」『天地』第３期、１９４３年１２月、収入『流言』
「道路以目」『天地』第４期、１９４４年１月、収入『流言』
「必也正名乎」『雑誌』第１２巻４期１９４４年１月、収入『流言』
「尽余録」『天地』第５期１９４４年２月、収入『流言』
「談女人」『天地』第６期１９４４年３月、収入『流言』
「小品三則」（包括『走！走到楼上去』『有女同車』『愛』)『雑誌』第１３巻１期、１９４４年４月収入『流言』
「論写作」『雑誌』第１３巻１期１９４４年４月、収入『張看』
「童言無忌」　『天地』第７，８期，１９４４年５月収入『張看』
「造人」　『天地』第７，８期１９４４年５月，収入『流言』
「打人」　『天地』第９期１９４４年６月，収入『流言』
「説胡夢ト」『雑誌』第１３巻４期，１９４４年７月，収入『流言』
「私語」　『天地』第１０期，１９４４年７月，収入『流言』
「中国人的宗教」　『天地』第１１ー１３期，１９４４年８ー１０月
「詞与胡説」『雑誌』第１３巻５期，１９４４年８月収入『流言』
「写　　」『雑誌』第１３巻５期，１９４４年８月，収入『流言』
「＜伝奇＞再版序」１９４４年９月
「炎櫻語録」上海『小天地』第１期，１９４４年９月，収入『流言』
「散劇」『小天地』第１期，１９４４年９月
「忘不了的画」『雑誌』第１３巻６期，１９４４年９月，収入『流言』
「談跳舞」『天地』第１４期，１９４４年１１月，収入『流言』
「談音楽」『苦竹』第１期，１９４４年１１月，収入『流言』
「自己的文章」『苦竹』第２期，１９４４年１２月，収入『流言』
「夜営的喇叭」
「借銀灯」
「銀宮就学記」
「存稿」
「雨傘下」
「談画」
　　　　　（以上『流言』所収）

『気短情長及其他』，『小天地』第４期，１９４５年１月
『＜巻首玉照＞及其他』，『天地』第１７期，１９４５年２月
『双声』，『天地』第１８期，１９４５年３月
『吉利』，『雑誌』第１５巻２期，１９４５年４月
『我看疎青』『天地』第１９期，１９４５年４月
『姑姑語録』，『雑誌』第１５巻２期，１９４５年５月，収入『張看』
『中国的日夜』，収入『伝奇』，増訂本，１９４７年
『華麗縁』，上海『大家』月刊創刊号，１９４７年４月，収入『網然記』
『有幾句話同読者説』，収入『伝奇』増訂本
『＜太太万歳＞題記』，上海『大公報，劇与電影』１９４７年１２月３日
『＜張愛鈴短編小説集・自序』１９５４年７月
『＜愛黙森文選＞訳者序』１９５４年７月
『惟胡適之』，台湾『中国時報・人間副刊』，収入『張看』，１９７６年
『談看書』，台湾『中国時報・人間副刊』，収入『張看』，１９７６年
『談看書後記』，台湾『中国時報・人間副刊』，収入『張看』１９７６年
『紅楼夢魔自序』、台湾皇冠出版社、１９７６年
『＜張看＞自序』、台湾皇冠出版社、１９７６年５月
『網然記序』、台湾皇冠出版社、１９８３年６月
国語本『海上花』訳後記、１９８３年１０月１、２日台北『連合報』副刊
『海上花的幾個問題』（英訳本序）１９８４年１月３日台北『連合報』副刊
『表夷細夷及其他』、台湾皇冠出版社、１９８８年
『談食与画餅充飢』、台湾皇冠出版社、１９８８年
『草炉餅』１９９０年２月９日台北『連合報』副刊

 電影劇本

『未了情』１９４７年
『太太万歳』１９４７年
・ 『情場如戦場』１９５６年収入『網然記』

 作品集・単行本

『流言』　五洲書報社　1944.12
『伝奇』　増訂本　山河図書公司・百新書店　1946.11
『張愛玲全集　1　秧歌』皇冠文學出版有限公司
『張愛玲全集　2　赤地之戀』皇冠文學出版有限公司　1991.6
『張愛玲全集　3　流言』皇冠文學出版有限公司　1991.8
『張愛玲全集　4　怨女』皇冠文學出版有限公司　1991.7

参考文献

『中国現代小説史』　夏志清著　劉紹銘訳　友聯出版社１９７６、７
『今生今世』　胡蘭成　遠行出版社　１９７６、７
『張愛玲資料大全集』　唐文標編　時報文化出版社事業公司　1984
『張愛玲・蒼涼的完一笑』『浮出歴史地表』　孟悦・載錦華　河南人民出版社　１９８９、７
『張愛玲的世界』　鄭樹森／編選　允晨文化　1990.12／180元台幣
『天才奇女ー張愛玲』　于青／著　花山文藝出版社　1992.7／7.50元
『張愛玲傳――従李鴻章曽外孫女到現代曹雪芹』　于青／著　世界書局　1993.9／200元台幣
『張愛玲傳』　余彬／著　海南出版社　1993.12／9.80元
『最後的貴族・張愛玲』　胡辛／著　国際村文庫書店　1995.3
『張愛玲傳』　胡辛／著　作家出版社　1996.5／20.50元

 邦訳

『浪漫都市物語』清水賢一郎、上田志津子訳　ＪICC出版局、1991.12
『傾城の恋』池上貞子／訳 　平凡社　1995.3.20／1900（本体1845）円
『中国が愛を知ったころ　張愛玲短篇選』濱田麻矢／訳　岩波書店　2017.10

研究書

『伝奇文学と流言人生――1940年代上海・張愛玲の文学』邵迎建／著　お茶の水書房　2002.10.10