新筆記小説

XīnBǐjìXiǎoshuō・WēixíngXiǎoshuō
新筆記小説・微型小説
しんひっきしょうせつ・びけいしょうせつ

解説

1980年代以降、都市の活字メディアにおいて、忙しく働く人々のために短い時間で読むことの出来る、超短篇小説の類が流行して、ひとつのジャンルを形成した。「北京晩報」などの夕刊紙がこれによって人気を博し、他紙誌もその流れに便乗するように、微型小説一分鐘小説掌篇小説などさまざまな呼び方で専欄を設けた。こういった超短篇小説の起源や現状については、渡辺晴夫著『超短編小説序論』(白帝社)に詳しいが、それ以外にも、中国の伝統的な文語小説である筆記小説の流れをひくものも少なくないと考えられる。張日凱は、そのような観点から『中国新筆記小説選』を編んでおり、中には上記微型小説に類する作品も含まれているが、汪曾祺阿城のそれは、また独自の味わいをもった一連の作品となっており、例えば香港の『九十年代』誌に連載した毎号一ページほどの阿城の短篇小説は「新筆記小説」という欄に掲載されている。その文体は、必要最小限の言語にまでスリム化された表現の形を目指しており、新しい文言の世界を再構築することを志向している。文化大革命の悲惨な事象を描きつつ、そのように言語に芸術性をもたせ、読者に深い印象を与える阿城のこの文体は、賈平凹の「商州」シリーズにも通じるところがある。

作成:青野繁治

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