麗尼

Lì Ní
麗尼
れいに

 (1909.11.4-1968.8.3)

 麗尼小伝

 本名 郭安仁 文学翻訳家、散文家、教授。
 美術大学の教師をした後、1930年に上海で左翼活動に参加。またこの頃から文学翻訳といった文化活動も始めていく。翻訳活動とあわせて自らも執筆をおこなう。中国作家協会会員、雑誌の編集者を歴任した後、広州の大学で教授をつとめていた1968年8月文化大革命の迫害に遭い急逝。生涯において謎とされている部分がかなりあり、彼の活動や生き様をすべて把握するのは、至難の業と思われる。
麗尼の作品には、思想の矛盾から来る心中の苦悶が多く描かれている。麗尼の散文は独特の調子で、解読できないような難しい言い回しを使ったり、表現をしたりすることは少ないが、読んでみると、決して読みやすい文章でもない。
 1930年代は彼にとって実りのある、最も充実した時期だった。自ら「左翼連盟」に参加し、社会主義思想を目の当たりにして、希望に燃え、執筆活動にも熱が入った。争いや国家の興亡、民族的な怨恨などの外的要素によって、作品への意欲をかき立てられたが、彼は人々の自由が解放され、社会主義国家としての新しい中国が誕生すると、あえて祖国への愛情や社会主義社会への愛情を書かなかった。彼は、歴史問題をあまりに重要にとらえすぎたため、その重圧に潰されそうになっていたという。そして彼はひっそりと死んでいった。享年59歳。
 彼の作品は「権利の存在」を世の中に訴えたという意味で、偉大な作家だったと思われる。
彼の遺志は今も受け継がれており、彼の散文や「権利の存在」を訴えた作風は多くの後輩作家の手本となっている。

 作品集・単行本

鷹之歌 麗尼著,李済生編 珠海出版社,1997.13.20元
大阪外国語大学内今泉研究室に存在
初版は1936年選自文化生活出版社から出版

 作成:北口 訓之

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