駱賓基

Luò Bīnjī
駱賓基
らく・ひんき

(1917.2.12~1997.6)

駱賓基小伝

 本名張璞君、祖籍は山東平度である。吉林琿春の生まれ。満洲事変後、山東に戻り、農作業をしながら、学校に通う。1934年、北京大学の授業を傍聴、その後は北京図書館で自習した。
 1936年、処女長篇小説『辺陲線上』を書いているが、抗日武装闘争を描いた比較的早い作品である。これは1939年に発表され、文壇に重視された。8.13事変の後、上海で抗日救亡活動に参加、実際の闘争のなかでルポルタージュを書いた。なかでも「大上海的一日」は、戦時上海市民の生活を反映し、この時期における重要作品となった。
 1938年浙東で抗日宣伝活動をしているとき、中国共産党に加入、1939年には紹興に行き『戦旗』を主編。
 1940年から44年までは、桂林や香港にいて、自伝的長篇小説『幼年』、日本軍の暴行を暴露した中篇小説『罪証』及びその他の中長篇小説、といろいろな短篇小説を発表、短篇の代表作は「郷親—―康天剛」で、民族の典型的性格を表現している。「北望園之春」は、桂林の知識人たちの苦悶の心情や生活を描いている。いずれも心理をうまく描いており、作者の高度な芸術的才能を示している。
 1944年、四川の耒都で逮捕されるが、党に救出される。
 抗戦勝利後は重慶において、東北文化協会理事兼秘書長を務める。1947年、ハルピンの解放区に向かう途中、再度逮捕され、1949年に釈放。
 解放後は、批判的リアリズムの影響から抜け出すようにつとめ、新しい芸術観を確立発展させようとした。「山区収購站」など一連の新生活を反映する短篇小説は、深い技巧的修養を表現している。
 山東文教委員会委員、山東文聯副主席、作家協会北京分会副主席などを歴任。晩年には力作「金文新考」を発表し、中国の文字学の歴史を千年引き延ばすのになすべき貢献をなした。

(宋懐冰『中国現代作家大辞典』新世界出版社 1992)

著書

『郷情小説』中国現代名作家著作珍蔵本 上海文藝出版社 1997.8

研究資料
 
作成:青野繁治

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